夫を亡くした70歳以上の妻が受給できる遺族年金はいくら?早見表で確認
2026年10月23日
すでにご自身の老齢年金を受給されている70歳以上の方であれば、「自分の年金と遺族年金は両方受け取れる?」「専業主婦と共働き、それぞれの働き方で受給できる年金額は異なる?」といった疑問も出てくるでしょう。
この記事では、70歳以上の妻が受給できる遺族厚生年金の年金額を、「専業主婦だった方」「共働きだった方」それぞれの手取り額の目安がわかる早見表で紹介します。あわせて、年金額の計算の仕組みや、夫が亡くなったあとに必要な手続きもわかりやすく解説します。
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※本記事では「夫が亡くなり、妻が遺族年金を受給する」ケースを中心に解説していますが、「妻が亡くなり、夫が遺族年金を受給する」ケースも基本的な仕組みは同様です(ただし、夫が遺族年金を受給する場合は、妻が亡くなった時点で夫が55歳以上であることなどの年齢要件があります)。
- 70歳以上でも夫を亡くした妻は遺族年金を受給できる
- 70歳以上の妻が受給できる年金額はいくら?早見表で手取り額の目安を確認
- 「専業主婦だった妻」と「共働きだった妻」で手取り額が異なるのはなぜ?老齢年金の仕組みを解説
- 夫が亡くなったあとにやるべき遺族年金の手続き
- 遺族年金の仕組みを理解して、老後のお金の不安を減らそう

70歳以上であっても、要件を満たした妻は夫が亡くなったことによる遺族年金を受給できます。
ただし、遺族年金には大きく分けて「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があり、70歳以上の妻に支給されるのはおもに「遺族厚生年金」です。
- 遺族年金のうち「遺族基礎年金」は、原則として下記の要件を満たす子のある配偶者、または子に支給されます。
- ● 18歳到達年度の末日を経過していない子
- ● または20歳未満で障害等級1級・2級の状態にある子
遺族年金の基本的な内容をくわしく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
【関連記事】遺族厚生年金の一部が廃止に?いつから変わるのか?遺族年金見直しの全体像を解説

夫が亡くなったあと、妻には遺族年金とご自身の老齢年金がいくら支給されるのか。ここでは、「専業主婦だった妻」と「共働きだった妻」に分けて、受給できる年金の手取り額の目安を早見表で確認していきます。あわせて、一部の世代に上乗せされる加算についても紹介します。
【早見表】「専業主婦だった妻」または「共働きだった妻」が受給できる年金の手取り額の目安
遺族厚生年金は、亡くなった夫の「報酬比例部分」をもとに計算します。
- 【報酬比例部分とは】
- 老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金のいずれの給付においても、年金額の計算の基礎となる金額です。
下の早見表は、妻自身の老齢年金を一定と仮定したときの受給できる年金の手取り額の目安(年額・2026年度)です。前提条件として、妻自身が受給する年金は次のモデルを使っています。
- 【前提条件】
- ● 専業主婦だった妻:老齢基礎年金 月約5.3万円+老齢厚生年金 月約0.8万円
- ● 共働きだった妻:老齢基礎年金 月約7.1万円+老齢厚生年金 月約6.3万円
- (いずれも厚生労働省が公表する女性モデルを使用。夫の厚生年金加入期間は25年以上を想定)
| 夫の報酬比例部分(年額) | 遺族厚生年金の基本額 | 専業主婦だった妻の受給できる年金の手取り額の目安 | 共働きだった妻の受給できる年金の手取り額の目安 |
| 60.0万円 | 45.0万円 | 約108.7万円 (月約9.1万円) |
約161.6万円 (月約13.5万円) |
| 80.0万円 | 60.0万円 | 約123.7万円 (月約10.3万円) |
約163.9万円 (月約13.7万円) |
| 100.0万円 | 75.0万円 | 約138.7万円 (月約11.6万円) |
約173.9万円 (月約14.5万円) |
| 120.0万円 | 90.0万円 | 約153.7万円 (月約12.8万円) |
約183.9万円 (月約15.3万円) |
※2026年度(令和8年度)の金額。実際の額は年金記録により異なります
「専業主婦だった妻」は、受給できる年金の手取り額の大部分を夫の遺族厚生年金が占めるため、夫の年金額が低いほど手取り額も少なくなる傾向です。一方「共働きだった妻」は、ご自身の老齢厚生年金を生涯受給しながら、遺族厚生年金も差額分が上乗せされるため、受給できる年金の手取り額の合計は多くなります。
昭和31年4月1日以前生まれの妻は「経過的寡婦加算」が上乗せされる
昭和31(1956)年4月1日以前に生まれた人が、65歳以降に初めて遺族厚生年金を受給する場合、「経過的寡婦加算」が上乗せされます。
これは、この世代の人が国民年金に加入できた期間が短く、ご自身の老齢基礎年金が低くなりがちなため、その不足を補う加算給付です。加算される額は、「昭和61(1986)年4月1日において30歳以上の人が、60歳までの国民年金に加入可能な期間をすべて加入した場合の老齢基礎年金の額」に相当する額と合算して、ちょうど中高齢寡婦加算の額となるよう、生年月日に応じて設定されています。
対象となる方は現在70歳以上の人にあたるため、詳しくは年金事務所または年金相談センターで確認してみてください。

65歳以降は妻自身の老齢厚生年金と遺族厚生年金が調整されるため、同じ夫の年金額でも、妻が「専業主婦だった」か「共働きだった」かで手取り額は異なります。ここでは、その調整がどのように行われるのかを見ていきます。
65歳以降は「高いほうの額」が適用される差額支給になる
65歳以上でご自身の老齢厚生年金も受給できる妻の場合、まずご自身の老齢厚生年金が優先して支払われます。そのうえで、遺族厚生年金は「老齢厚生年金をそれを上回る差額分」だけが支給されます(差額支給)。
次のA・B2つを比較し、高いほうの額が遺族厚生年金の支給額です。
- ● A:亡くなった方の老齢厚生年金(報酬比例部分)× 4分の3
- ● B:(Aの額 × 2分の1)+(自身の老齢厚生(退職共済)年金 × 2分の1)
最終的な支給額は、ご自身の老齢厚生年金と遺族厚生年金のうち高いほうの水準になると考えてください。なお、妻自身の老齢基礎年金(国民年金部分)は、この調整とは別に全額受給できます。
「専業主婦だった妻」は遺族厚生年金がほぼそのまま手取り額になりやすい
「専業主婦だった妻」は、妻自身の老齢厚生年金がない、あるいは少ないケースが一般的です。妻に老齢厚生年金がない場合は差額調整が行われないため、亡くなった夫の記録から計算された遺族厚生年金を受給できます。
仮に妻自身の老齢厚生年金がある場合、まずはその老齢厚生年金が優先して支給されます。そのうえで、夫の遺族厚生年金からは、その額を差し引いた差額分が妻に支給されるのです。
- 【妻が受給する年金の内訳】
- ● 妻自身の老齢基礎年金 + 妻自身の老齢厚生年金 + 夫の遺族厚生年金(差額分)
「共働きだった妻」はご自身の老齢厚生年金が差額調整される
「共働きだった妻」は、妻自身の老齢厚生年金が差額調整されます。そのため、支給される夫の遺族厚生年金の手取り額は「専業主婦だった妻」より少なくなる傾向です。
また、妻自身の老齢厚生年金が計算上の遺族厚生年金額を上回る場合は、夫の遺族厚生年金が支給されないこともあります(全額支給停止)。ただし、妻自身の老齢厚生年金は生涯ご自身のものとして受給できるため、合計の受給額が大きく減ることはありません。

遺族厚生年金は、要件を満たしていても自動的に振り込まれるわけではなく、妻自身が請求して初めて支給されます。ここでは、夫が亡くなったあとに必要な年金の手続きについて解説します。
夫が亡くなったあとにまず行う年金の停止と請求
夫が亡くなったら、大きく分けて3つの手続きが必要です。
| 手続き | 概要 |
| 1.夫の年金を止める | 夫がすでに年金を受給していた場合、「年金受給権者死亡届(報告書) 兼 未支給年金・未支払給付金請求書」を提出する (※亡くなった夫のマイナンバーが日本年金機構に収録されている場合、「死亡届」の提出は原則不要です) |
| 2.未支給年金を請求する | 夫が亡くなった月までで、まだ振り込まれていない年金は「未支給年金」として、生計を同じくしていた妻が請求できる (※死亡届の提出が不要な場合でも、未支給年金を受け取るための請求手続きは必要です) |
| 3.遺族年金を請求する | 妻が遺族年金を受給するには「年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)様式第105号」の提出が必要です |
提出先は、年金事務所または年金相談センターです。郵送や電子申請でも手続き可能なので、不安な方は直接お問い合わせすることをおすすめします。
申請に必要な書類のチェックリスト
遺族年金の請求でおもに必要になる書類は次のとおりです。
- ● 必要事項を記入した「年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)様式第105号」
- ● 戸籍謄本(夫婦の関係と死亡の事実を確認するもの。死亡日よりあと、かつ提出日から6ヵ月以内に交付されたもの)
- ● 住民票の写し(世帯全員。生計を同じくしていたことの確認用)
- ● 夫の住民票の除票(住民票の写しに含まれている場合は不要)
- ● 妻の収入を確認できる書類(マイナンバーを記入している場合は添付を省略できる)
- ● 市区町村長に提出した死亡診断書(死体検案書など)のコピー、または死亡届の記載事項証明書(死亡の事実・原因および死亡年月日の確認用)
- ● 妻の預金通帳など振込先がわかるもの
必要書類は状況によって異なるため、あらかじめ年金事務所または年金相談センターで確認しておくと安心です。
【注意】請求には5年の時効がある
遺族年金を受給する権利には、5年の時効があります。夫が亡くなってから5年以内であれば過去にさかのぼって請求できますが、5年の時効が過ぎた分は受給できません。
「別居していた夫が亡くなった」「数年前に亡くなったが手続きをしていなかった」という場合でも、時効の5年以内で生計維持などの要件を満たせば請求できる可能性があります。該当する方は、年金事務所または年金相談センターで相談してみてください。

70歳以上でも、要件を満たせば夫を亡くした妻は遺族厚生年金を受給できます。
「専業主婦だった妻」は遺族厚生年金をほぼそのまま受給できます。一方、「共働きだった妻」はご自身の老齢厚生年金が差額調整されますが、その老齢厚生年金は生涯受給できるため合計額が大きく減ることはありません。
遺族年金は、自ら請求して初めて支給されるものです。過去の未払い分を受給する権利には5年の時効もあるため、夫が亡くなったら慌てずにまずは年金事務所または年金相談センターなどへ相談し、手続きを進めておきましょう。
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・本記事は2026年10月19日の各種情報に基づいて作成しておりますが、将来の相場や市場環境、制度の改正等を保証するものではありません。
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